炭鉱マンに寂しさと焦り

 【大瀬戸】池島炭鉱(西彼外海町)の労使が閉山協定書に調印し、二十九日の閉山が正式に決まった。炭鉱マンの顔には、ヤマの灯が消える寂しさと仕事を失う焦りの色がにじむ。県や商工会の相談窓口には、今後に不安を抱える家族や商工業者が次々と姿を見せた。閉山まであと九日。石炭の島が慌ただしくなってきた。

●鉱  員

 直轄鉱員の小谷英雄さん(52)は「退職条件に不満はあるが、もうそんなことを言ってはいられない」とため息。「高校二年の子どもが佐世保市の学校に通っている。仕事も家も佐世保で見つけたい。これからだ」と自らを励ますように大きな声で話した。

 約六百人が働く下請け会社の多くは、従業員の退職条件がまだ定まらない。二十一年間働いている坑内作業員(58)は「退職金は直轄の三分の一だろう。賃金25%カット分が戻るかどうかも分からない。同じ仕事で命を張ってきたのにな」と語気を強めた。

 港の貯炭場は今月に入り、皮肉にも真っ黒い石炭がうず高く積まれている。「今ごろになって、いい払い(採炭現場)ができたんだ」。ベテランの採炭員が寂しそうにつぶやいた。

●住  民

 県が十六日に設置した池島炭鉱閉山現地支援センターには、朝から鉱員の家族らが訪れ、職員に相談していた。

 同センターの倉富義治所長は「池島以外に住むのが初めての住民もおり、引っ越しや子供の転校の手続きなどを尋ねるケースが多い」と話す。

 相談に来た女性(54)は「昔はにぎやかだったのに。閉山は寂しい限り」。子供が長崎市の高校に通う主婦(39)は「できるなら子どもと一緒に住みたいが、空き部屋は少なそう」と話した。

●商工業者

 西彼外海町立池島開発総合センターでは、外海町商工会による緊急の個別相談会が十九、二十両日の日程で始まった。十九日は小売業者や炭鉱関連の業者など四件の相談があった。

 同商工会経営指導員の田浦秀稲さんは「炭鉱閉山後に住民がどれほど減るのか分からず、商工業者は今後経営を続けるかどうか迷っているようだ」と話した。

 夫と食料品店を経営する女性(45)は「できる限り営業を続けたいが、住民が減って商売が成り立たなくなれば閉店せざるを得ない」と不安を隠せない様子だった。

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