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大きく開口した鬼岳の火口。珍しい「火山涙」があるという=五島市上大津町
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福江、富江、三井楽、岐宿の各火山がある福江島の福江火山群は二〇〇三年、新たに活火山に追加された。火山噴火予知連絡会が活火山の定義を「過去およそ二千年以内に噴火した火山」などから「おおむね過去一万年以内に噴火した火山」などに変更したためだ。
岐宿火山が約九十四万―六十八万年前に活動を開始し、三井楽、福江両火山は約三十万年前に活動。福江火山の火ノ岳の活動は約三千―二千年前と推定されている。
火ノ岳近くの鬼岳(三一五メートル)はマグマが飛び散り固まった「火山涙(かざんるい)」の産地で、県指定天然記念物。山頂に登ると、鬼岳周辺の地形が眼下に広がった。
「火口から火山弾などが噴出して降り積もり、山の下部からは溶岩が破れ出ることなどを繰り返す中で一帯の土地の高まりをつくり上げた」。調査で訪れた独立行政法人産業技術総合研究所(茨城)地質情報研究部門副部門長、宇都浩三氏が説明した。雲仙・普賢岳の火道掘削調査を成功させた研究責任者の一人で、五島の火山も継続的に調べている。
「福江市史」などによると、鬼岳一帯は基底部が玄武岩質マグマの流出によって平たんな台地となり、この上に臼状火山(ホマーテ)の鬼岳、火ノ岳、箕岳、臼岳などが形成されている。

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黒い溶岩海岸を見渡す宇都氏=五島市富江町岳
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「なぜこの福江島に小さな火山が集まったのか。調査を進めたい」と宇都氏は語る。
一方、富江半島は起伏に乏しい溶岩台地で、富江町岳地区には溶岩トンネル「井坑(いあな)」がある。噴出した溶岩が流れながら表面は冷え固まる一方、流動性のある内部は流れ続けて抜け去り、空洞になった。いわゆるマグマの抜け殻だ。町内に幾つもあり、最大のものは県指定天然記念物。近くの坪地区の海岸は、ゴツゴツとした黒い溶岩の風景が広がる。
「噴出したマグマは行き場を探して流れ、やがて海に到達。大量の水蒸気を上げた」。太古の富江半島のダイナミックな情景が、目の前の溶岩海岸と重なった。
宇都氏は「五島には地球の雄大な営みを伝える跡が豊富にある。学習資源として一層、光を当ててほしい」と指摘する。(五島支局・山田貴己)
■ 火山涙(かざんるい) ■
噴火時に、玄武岩質の粘性の低いマグマが飛び散ったもの。球状、しずく状などさまざまな形があり、「ペレーの涙」といわれる。ペレーは、ハワイのキラウエア火山に住むとの言い伝えがある女神の名。
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